つくるを考えるインタビュー

torne 宇佐美太朗さんと大阪・天六でアイルランドの緑に囲まれて、メキシコで休憩しつつ「クラフト」を考える

宇佐美さん

宇佐美太朗さん
Taro Usami
ビアバー 「torne」店主

大阪・天六(北区天満橋筋6丁目)に位置する、国内外の厳選したクラフトビールが楽しめる店。細い路地を抜けて最初に目に飛び込んでくるのは、缶でできたブラインド。ビールの缶ってこんなにデザイン豊富なんだと思いながら店内に足を踏み入れると、深いグリーンの空間と風合いのある木のカウンター、中央にはDJブース。アナログとデジタルが入り交じる、非日常が楽しめる店「torne(トーン)」のオーナー宇佐美太朗さんにとっての"つくる"を伺いました。

※内容は取材当時のものです(取材日 2023/5/26)

立ち上げることがすごく好き

お店の内装やコンセプトからすべてご自身でつくられたとか。

宇佐美

店をつくるのが好きで、過去にレストランやビアバーで働いていた時も、新しい店舗が始まる時にコンセプトや内装のデザイン、ロゴを考えたりするのが楽しくて。店の立ち上げがすごく好きです。もちろん店の立ち上げ後の運営も興味はあって、店がスタートしたら、従業員を雇ってオペレーションを考えたりマニュアルをつくったりするのも好きですね。

金子

店舗マネジメントや、ディレクションの方が好きだったりしますか?

宇佐美

本当はマネジメントやディレクションが好きだけど、「torne」は自分1人でやっているから、次の店もつくりたいけど1人だとつくれないなって感覚はあるかもしれないです。誰か雇って運営しないと、新しいお店をつくれないですよね。次のお店をつくれないと俺の快楽がなくなってしまいます。店をつくるのが好きだから。

緑の壁のtorne店内、宇佐美さん自作のカウンター

緑の壁のtorne店内、宇佐美さん自作のカウンター

古いだけじゃなくて、ネオクラシック

「torne」のコンセプトやこだわりを教えてください。

宇佐美

内装に使っているこのペンキの緑色がすごく好きなんです。アメリカの塗料会社のペンキなんだけど。僕はアイリッシュパブにすごく憧れがあって、どこかにアイリッシュパブの要素を取り入れたくて、渋い緑の壁にしました。光が当たるところと当たっていないところにグラデーションが生まれて良い雰囲気になるだろうなって。あとメニューの1番目にある「Old Speckled Hen(オールド スペックルド ヘン)」、このビールをつなぐというのは決めていましたね。

金子

「Old Speckled Hen」ってどんなビールですか?

宇佐美

僕が「Old Speckled Hen」に出会ったのは、日本で僕が1番好きなビアバー東京・三軒茶屋にある「Pigalle Tokyo(ピガール)というお店です。内装やコンセプトがあまりに衝撃的で「こんな店が世の中にあるんだ」ってくらい素敵な店だと思います。その店のメニューの1番が「Old Speckled Hen」。初めて飲んで「こんなに美味しいビールがあるんだ」ってそれも衝撃的でした。僕自身クラフトビール業界は長いけど、IPA(アイピーエー)という、フルーティーで苦味の強いビールやWeizen(ヴァイツェン)のような派手なビールが最近主流のスタイルです。「Old Speckled Hen」は、ドイツビールみたいなクラシックなモルトで、麦芽の旨みが前面に出て、ホップはそれを下支えするくらい。はっきり言うと地味なスタイルだけど飲み口は紅茶みたいで炭酸が強くないから、お茶のようにスルスル飲めておなかも膨れないし、食事の邪魔をしないです。永遠に飲めるから、イギリスの人たちはこういうビールを楽しんでいるんじゃないかな。

金子

「Old Speckled Hen」はイギリスのビールなんですね。

宇佐美

イギリスのグリーンキング醸造所でつくられているビールでこの「Old Speckled Hen」にほれて、自分のお店につなぎたいと思いました。このビールを自分の店に置く時に「背景がこの緑の壁だったら良いだろうな」って考えて。緑色だけでも何百種類とあるから、思い入れは強いです。店のイメージはアイリッシュパブや英国のパブみたいな雰囲気だけど、店に置かれているアイテムやDJブース、流れている音楽は最新なので、古いだけじゃなくてネオクラシック。そんなイメージをコンセプトに掲げようと考えました。

金子

ハイテクとクラシックがミックスした感じですね、 店内のカウンターもすごく雰囲気があります。

宇佐美

カウンターは新品の木を加工していて、ホームセンターにある1枚1,600円くらいのカフェボードっていう一番安い木を使っています。エイジングした木を買うと高いから、自分でやれることはやろうと。カンナ、電ノコ、ドライバー、あらゆる傷が付く道具で木の表面を削りまくって、サンダーで削って形を整えて、1回磨いてバーナーで全部焼いて。そのあと、もう1回磨いて墨汁を薄めて染み込ませて、白い塗料を薄めて染み込ませたら、てかりのあるシルバー色の古木風になります。そこからオイルステインを塗って磨いたらこの状態に仕上がるんです。

金子

カウンターづくりは楽しめましたか?

宇佐美

エイジング加工の作業は、日々の営業よりも楽しかったかもしれませんね。両親は絵描きで、デザイン事務所もやっていたから、子どもの頃の遊びは「何かをつくる」こと。父は百貨店の包装紙デザインや店のロゴを考えたり、母はイラストレーターで、冊子の挿絵や店のマスコットキャラを考えたり、水彩やアクリル画を描いていました。弟も2人とも絵描きですし、1番下の弟はデザイン事務所を立ち上げています。

金子

ものづくりが宇佐美さんのルーツにあるのですね。

宇佐美さんこだわりの、明暗によって表情が変わるグリーンの壁

宇佐美さんこだわりの、明暗によって表情が変わるグリーンの壁

店内中央のDJブース

店内中央のDJブース

墨汁と白いペンキで加工されたカウンター

墨汁と白いペンキで加工されたカウンター

店名「torne」の由来は何ですか。

宇佐美

音楽と絵を描くのが好きなので、色のトーン、音楽のトーンが良いかなと。でも「TONE」だと普通だし、少しひねくれさせたくて「引き裂く」「2つに分ける」という意味の「TORN」を合わせて「torne」にしました。造語です。

金子

ものをつくるだけでなく、音楽も宇佐美さんのルーツとしてあるんですね?

宇佐美

僕はバンドやDJもやっていましたし、曲もつくったりします。音楽が好きだからお店をやっている感じですね。

常時8~12種類のビールを飲むことができる

常時8~12種類のビールを飲むことができる

売れるビール、売りたいビール、応援したい人がつくっているビール、応援したい国がつくっているビール。

クラフトビールと一般的なビールの違いは何ですか。

宇佐美

ビール自体を常温で保存できるかどうかは大きいです。基本的にうちの店は、常温でビールを保管できるビール会社とは契約していません。醸造所から店に来る間も冷蔵車や冷蔵コンテナで配送されてきます。海外からの輸入も、日本まで3カ月かけて船に乗ってきますが、リーファーコンテナと呼ばれる冷蔵のコンテナで運ばれます。クラフトビールが高い理由は配送料の高さもあります。もちろん冷蔵費、原材料費の違いもありますけど。大手のビール会社は世界中から安い原材料を集めて、研究室や素晴らしい醸造設備でおいしい麦汁に変えて提供しています。安い材料を大量に買うと、原価を抑えられますよね。さらに酵母を取り払って、発酵が進まないようにしているから常温で保管できるし、保管用の冷蔵設備は必要ない。コストを抑えているから大手のビール会社さんのビールは安く提供できます。

金子

クラフトビールと一般のビールの違いは、流通量と値段の違いとも言えますよね。

宇佐美

クラフトビールのブルワリーと言われる醸造所は1人で生産しているところもあります。厳選されたホップを使っているのも理由の1つとしてあるかもしれませんが、原材料が生産力に見合った少ない量しか購入できないと、原価は割高になります。あとは、提供する店側の冷蔵設備も理由の1つです。クラフトビールを提供するお店のサーバーはビールの樽と、樽から出るホースも全部冷蔵庫の中に入っていて、ビールが劣化しにくくできています。一般的なビールを提供する場合は、常温で保管されているビールを瞬冷式サーバーという設備で提供します。コールドプレートの中を常温のビールが通って冷たい状態で出てくるんです。提供するお店の設備によっても、お客さんに提供できる値段が変わってきます。でも「クラフトビールと一般のビールの違いは何ですか」って聞かれると、色々な考え方があると思いますが、僕はそんなに違いはないと思っています。「クラフト」がついたものは何か違うって思われがちですが、ビールであることは同じです。大手の「アサ◯ビール」だって吹田でしかつくっていなかったら、それはクラフトビール、地ビールと呼べるんじゃないかなと思いますね。「クラフトビールだから凄い」なんてなくて、所詮ビールだし。ただ造り手さんは本当にこだわっている。その造り手のこだわりを身近に感じられるのが、クラフトビールですね。

「torne」に並ぶビールはどのように選ばれていますか。

宇佐美

売れるビール、売りたいビール、応援したい人がつくっているビール、応援したい国がつくっているビール、その背景にどんなストーリーがあるかで選んでいます。流行っているという理由では、選ばないようにしています。巷ではHazy IPA(ヘイジー アイピーエー)といって、少し濁ったトロピカルな香りのビールが流行っていますが、飲めるビールがIPAばっかりっていうのは面白くないですしね。僕はメニューの1番「Old Speckled Hen」のようなクラッシックなエールを飲んでもらいたいし、応援したいです。クラフトビールって狭い世界で、造り手さんに会いに行きやすいです。ビールの味だけでなく、人との付き合いも大切で、つくり手さんを「応援したい」と思ったらビールを採ることもあります。製造者とつながりやすいこともクラフトビールの魅力の1つかもしれないですね。

他におすすめのクラフトビールはありますか。

宇佐美

1つは、鳥取県の大山Gビール「Weizen(ヴァイツェン)」。僕が国産のビールで初めて美味しいと思った衝撃のビールです。もう1つは「Rackhouse(ラックハウス)」という木樽で寝かせたノルウェーのビールですね。特にヨーロッパで日常的に飲まれているビールで、今回ご紹介するのはベルギーのスタイルでつくられたものです。木の樽で何年か寝かせるとワインの様なスパイシーな香りが生まれます。そういう面白さが、クラフトビールの世界にもあるので紹介も兼ねて。

金子

ベルギーのスタイルはどういったものですか?

宇佐美

一般的なビールは、酵母を入れてステンレスの樽でふたをして数日から数週間放置します。ベルギーのLambic(ランビック)と呼ばれるスタイルは酵母を入れて、蔵の中の大きいプールみたいなものに流し込みます。そして蔵の窓を開けて外の空気を入れてあげると、蔵に住んでいる菌や外から入ってきた酵母や菌が、プールの中の麦汁に付着して色々な化学反応が起きて、3年くらいたつとおいしいビールの出来上がりです。

金子

ベルギースタイルはワイルドですね。

宇佐美

Lambicって呼ばれるのはベルギーのあるエリアでつくられたものだけで、ベルギー以外ではWILD ALE(ワイルドエール)と呼ばれています。野生酵母を使っているビールで、つくった時期にもし近くで桜が咲いていたら、桜の木に生息している酵母が付着するかもしれないし、時期によって風味の変わる日本酒やワインに近いものと言えるかもしれませんね。

金子

木樽で寝かせた「Rackhouse」は、どのような味ですか?

宇佐美

木樽由来のワインのような酸味とスパイシーなベリー、蜂蜜、酸味のある胡椒、ハーブの風味があるビール。ワインを飲み慣れている人からしたら、馴染みやすいかもしれないです。ナチュールワインとかオレンジワインに近い味わいだと思います。

金子

大山のビールはどんな特徴がありますか。

宇佐美

大山のビールは「Weizen」というドイツのスタイルでつくられたもので、小麦麦芽をメインに使っていて、ほんのり濁っていて酵母も特徴があります。酵母から生まれるスパイスのクローブと甘いバナナのような香りのフルーティーなビールで飲みやすいですね。

ビールによって、注ぎ方の違いはありますか。

宇佐美

メニュー1番の「Old Speckled Hen」は炭酸ではなく窒素で充填しているので、できるだけきれいな泡をつくるように注いでいます。一般的なビールは炭酸ガスで充填しているからシュワシュワしていますが、窒素はグラスに注いだ時の表面の泡がクリーミーで、シルクみたいにきれいです。ちょっとでも粗い泡があるとダサく見えるので粗い泡ができない注ぎ方をしています。あとグラスの洗浄も大切、ビールグラスの内側が汚れていると、炭酸の泡がプツプツ付きます。ビール自体がどれだけ美味しくても、グラスがきれいに洗えていないとダサい味になってしまいます。

金子

ビールの種類によって提供しているグラスが違いますが、これはどういう違いがあるんですか?

宇佐美

よくあるビールジョッキは、ドイツスタイル、特にラガー系のビールに適しています。見た目がかっこ良いし。ワイングラスみたいなグラスは、香りが溜まるのでランビックみたいな香りを楽しむビールが向いていますね。

金子

「Rackhouse」を注いでいただいたのは、香りが溜まるタイプのグラスですね。

Le Grand Mélange By Rackhouse:LERVIG

Le Grand Mélange By Rackhouse:LERVIG

Old Speckled Hen:Greene King Brewery

Old Speckled Hen:Greene King Brewery

ビールは誰と飲むか、どこで飲むかで味が変わってくる。

「torne」ではどのような料理を提供していますか。

宇佐美

基本的にはビールに合う料理。ジャンル、国籍問わずです。

金子

ビールに合わせてお料理を提供されてるんですか?

宇佐美

日本酒やワインみたいに料理とのペアリング、マリアージュは、ビールに関しては正直難しいと思っています。フライドポテトとラガービールのように相性の良いものはありますけど。日本の大手のビールは和食もハンバーガーも、何でも受け止めてくれる懐の広さがありますし。僕はビールを誰と飲むか、どこで飲むかで味が変わってくると思っていて、仲の良い友達とワイワイ言いながら、ゴクゴク飲むビールがおいしいと思う。正直アテは何でも良いんじゃないかとも思っています。ただ相性はあって、例えば黒いビールは、唐辛子の効いたからい料理と飲むと、ローストした麦の香りがカカオやチョコレートみたいな印象になる。黒いビールと麻婆豆腐はすごく相性が良いです。

金子

クラフトビール、すごく深いです。飲みながら、宇佐美さんとお客さん、お客さん同士も会話に花が咲くんだろうなって思います。人をつなぐことができるのがクラフトビールの魅力ですね。

「ラムチョップドリロコス」ドリトスの袋の中で、ラムチョップやキュウリやトマトが躍るメキシコグルメ

「ラムチョップドリロコス」ドリトスの袋の中で、ラムチョップやキュウリやトマトが躍るメキシコグルメ

「カニカマサラダ」カニカマサラダをより美味しくしようとつくった一皿で、チーズがふわっとのっている

「カニカマサラダ」カニカマサラダをより美味しくしようとつくった一皿で、チーズがふわっとのっている

他人と関わることができる世界をつくっている

宇佐美さんにとって「つくる」とは何ですか。

宇佐美

他人とつながる事ができる1つの手段。例えば僕は店をつくってるし、音楽もつくるけど、あくまで自分だけで満足するんじゃなくて、他人と関わることができる世界をつくっていて、ぼくにとってつくることはそのための手段です。僕が店をつくって、料理をつくったらお客さんは店と料理に出会うことになる。会話はなくても、その人がカウンターに座った瞬間に「この店って緑だな」って思ったとしたら、それは僕が緑色に壁をつくったから、その人はそう思うし会話がなくても伝わると思います。

金子

宇佐美さんのコミュニケーションの手段ということですね。

宇佐美さんにとってつくることにどのような意味がありますか。

宇佐美

1つはちゃんとお金を儲けて生活するための手段。あとは自分自身の快楽を満たすということもあると思います。他には、おいしい料理をつくるということは、相手の快楽を満たしてあげることにつながると思うし、つくることの意味はあるようでないけど、でもやっぱりあるんだと思います。

「ドリロコス」調理中の宇佐美さん

「ドリロコス」調理中の宇佐美さん

結局は自分自身しか満足しない

つくることで何を得ますか。

宇佐美

お金を得ることができる。言葉を得ることができる、会話が生まれるから。会話が生まれた先にその人と仲良くなると、経験を得ることもできる。もちろん自分で店や料理をつくったという、自分自身の経験も得られますよね。

つくる時に欠かせない要素はありますか。

宇佐美

自分が何をほしいか、何を得たいかということとつながっていると思います。お金がほしいと思ったら、店の内装は見栄えを良くする。言葉がほしいから会話が生まれるような照明にして、店を続けたいから照明が当たった時の壁の色にこだわる。自分がほしいものを叶えるための要素が、欠かせないものといえるかな。自分自身の満足を得たいから自分の好みにつくるっていうのもあるし、他人からの賛辞がほしいから、すり寄せていくっていうのもあるかもしれないですね。

つくることを通して新たに発見したことはありますか。

宇佐美

何かをつくり上げるまでに発見だったり、感情の起伏が全くないという事はなくて、何かを生み出す時には、たくさんの発見や、色々な考えが頭の中を巡っているはずだと思います。

金子

発見しまくっているということですね。

宇佐美

発見しまくってますね。

金子

それがつくるってこと?

宇佐美

それがつくるかもしれないね。

バラガンのトイレ

バラガンをイメージしたお手洗い

行き着くまでにどうするかという図をつくること

つくるプロセスで一番時間を費やすことは何ですか。

宇佐美

頭の中のイメージをつくる時間です。最初に頭でイメージしたことをキーワードとして、紙に書き出して方向性を見つけます。次にゴールをつくって、ゴール地点の完成図を頭に描いて、スタートからゴールに行き着くまでの図をつくることが一番大事ですね。実際つくり始めたら、設計図がないと上手くいかないと思います。設計図をつくる工程が、一番時間がかかるし、大切なんじゃないかな。

つくっているときの感情で大事にしていることはありますか。

宇佐美

自分がワクワクするかどうかです。最終的に自分が満足していなかったら、嫌になってしまうかな。

つくっていて大変なことはありますか。

宇佐美

設計図をつくる時にアイデアが出なかったら大変だなと思いますが、僕はあまり大変だなって思わないです。アイデアが出てこない時は、アイデアを出すために他のことをします。他のことをしている時、僕はすごく楽しんでるし、気が付いたら新しいアイデアが生まれています。遊ばないと良いものは生まれないと思っているので遊びが一番大事。ほぼつくるということも僕は遊びだと思っています。

金子

つくることで喜びを感じることはありますか。

宇佐美

つくる時に喜びを感じるというより、つくり終えた時に喜びを感じるかな。だからこそつくり終わってからも、全部徹底的に遊びたいです。家でビールを飲む時も、真剣に遊ぶ。グラスや温度、アテを変えてみたりして真剣に遊ぶようにしています。

金子

日々変化が生まれるように、意識して楽しむようにしているということですか?

宇佐美

そう、変化が生まれるように真剣です。暇だったら暇なりに、真剣に暇を楽しんで遊ぶようにしています。

宇佐美さんを取り巻く環境や未来についてどう思いますか。

宇佐美

ビール業界に関しては、法律がネックになっていると思います。「ホームブルーイング」、家で自分が飲むためのビールをつくることは日本では禁止されていますが、お酒の飲める国でホームブルーイングが禁止されているのは日本とフランスだけです。ビール大国のアメリカ、ヨーロッパでは、自分の家で消費するビールをつくることが許されています。だからアメリカやヨーロッパはビールをつくる技術力が上がるし、ビールに興味を持つ人も増えます。それが10〜20年後のビール業界の発展にもつながっていくと思います。ビール業界に関しての環境や未来は、厳しいものがあると思いますね。飲み手側が増えていないから、お客さんの取り合いになっていきますから。

店の入り口には各国のビールの缶のブラインド

店の入り口には各国のビールの缶のブラインド

手芸についてどんなイメージを持っておられますか。

宇佐美

子どもの頃から身近にあったものですね。母親はミシンで何かつくったりするし、僕はアンティークのボタンを集めて、ネックレスつくったり。持っているアクセサリーを分解して、新しいアクセサリーをつくったりしていたから。物心つく頃から手芸はやっていました。女性のイメージが強いから、もっと男性も参加したら良いんじゃないかなと思います。

金子

宇佐美さんにアンティークボタンを持って、突撃しに来てもらったらいいですね。

宇佐美

「torne」でそういうセミナーみたいなね。ビールを飲みながら、クラフトする日。クラフトビールのハンドクラフトの架け橋。

金子

「クラフトビールとクラフトが繋がる瞬間、今、この時間」。いいですね。本日はありがとうございました。

「torne」店の外から

「torne」店の外から

かっこいいと思う手芸道具はありますか?

  • リッパー一生できる
  • チョーク肌触りが好き
  • 足踏みミシン踏む感じがエレクトーンみたい

好きな手芸の素材はありますか?

  • アンティークボタン。ビーズ。スタッズとか、よくカバン改造したりしてたから

何かつくっている時のお供は?

  • 音楽
宇佐美 太朗さん

宇佐美 太朗 Usami Taro

各国のレストランで料理の修行を積み、2023年1月にビアバー「torne(トーン)」をオープン。店づくり、料理、作曲、アクセサリー等つくるものは多岐にわたる。

https://www.torne-craftbeer.com/ https://www.instagram.com/torne_craftbeer/

聞き手:金子
手芸をやりたいという気持ちは強く、材料は集めるものの・・・(お察しください)
手仕事をほどこしたプロダクトや作品、場所が大好き。
手芸をやりたいという気持ちは強く、材料は集めるものの・・・(お察しください)手仕事をほどこしたプロダクトや作品、場所が大好き。

編 集:渡辺
手芸初心者。
あらゆる手芸を少しずつかじって楽しんでいる。